人工透析の入院費用など自己負担軽減の手続き|特定疾病療養受療証の交付

人工透析は入院・手術や通院透析で多くの費用がかかりますが、幸いにも自己負担が軽減される福祉制度があります。

しかし、これらは全て申請手続きが必要で知らない人も多いと思うので、家内のケースを例として纏めてみました。

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人工透析治療は特定疾病や身体障害者に該当、その福祉制度とは

人工透析を始めた人は特定疾病者ともいわれ、長期にわたり高額な医療費が必要となますが、この治療費を軽減するための数種類の福祉制度があります。

今回は「後期高齢者医療被保険者」である家内が、人工透析を開始するに当たり申請した手続きをご紹介します。

【福祉1】後期高齢者医療特定疾病療養受領証の交付申請~自己負担額の結果

これは特定疾病者の医療費の限度額を定めたもので、一般の高額療養費限度額を大きく下回る金額で軽減されます。

通常、自己負担額が1つの医療機関につき1ヶ月1万円までの限度額が定められています。
 ※但し、一定以上の所得がある場合は2万円が限度額になります。

従って、人工透析開始が決まったら早目に市役所などに相談し必要書類の準備をしておきましょう。

【申請に必要な書類等】

この申請は健康保険等にて行うので出向いて必要な書類を受け取りましょう。

【必要書類は2種類】
・後期高齢者医療特定疾病認定申請書
・特定疾病認定に係わる意見書(医師に記入依頼する)

この申請書類は医師の意見書記載が必要であり、病院では人工透析が開始した日から受付てくれます。
  ※私どもの場合は看護師から説明がありました。

なお、この福祉は認定許可が出た当月から適用されますので、申請が遅れると適用は翌月からになるので要注意です。

追記しますと、医師の意見書記載に数日かかることも考慮しておかねばなりません。

実際の申請日程の経過と自己負担額

11月05日(金) 人工透析開始のため入院日が決定
11月07日(月) 市役所の健康保険で2種類の書類を受け取る
11月10日(水) H病院に入院する(入院期間は3週間ぐらいと言われたが果たして?)
11月11日(木) 1回目の人工透析開始
11月12日(金) 「特定疾病認定に係わる意見書」の記載を病院に依頼提出
            ※1週間以内で出来上がるとのことでした
11月15日(月)  上記意見書を病院から受取る(無料、以外に早かったです!)
11月15日(月)  市役所に申請書と意見書の2枚提出、
            その場で「特定疾病療養受領証」が交付されました。

後期高齢者医療特定疾病療養受領証

11月16日(火)  H病院に「特定疾病療養受領証」を提出し11月分からの適用を依頼
            ※11月の入院・手術・人工透析費の保険適用分が1万円になる

医療費軽減の結果はどうなったか?

今回の「特定疾病療養受領証」提出により自己負担の医療費は1万円になる予定ですが、もしこの提出が遅れたり知らなかったとすると(実際には医療機関から説明があったが)、医療費分の自己負担は高額療養費限度額が適用され「57,600円」になります。

従って、今回の手続きで自己負担は差額の「47,600」軽減されることになるのです。

これは大きいですよね、では実際に自己負担はどうなったか以下に記載します。

【外来と入院医療費の前提条件】
今回の人工透析に係わる治療は外来と入院で行われ、まとめると次のようになります。

11月05日:H病院の外来診察により人工透析治療を受けることが決定した
11月10日:入院して翌日から透析開始した
11月15日:特定疾病療養受領証が交付される(適用は11月1日から可能)
12月05日:H病院を退院した

【外来医療と入院医療が同月で行われた場合の自己負担額】
自己負担額は同病院において外来と入院を別々に計算して決められます。

つまり、外来医療費と入院医療費を合算して自己負担が決まるわけではありません。

11月05日:自己負担3,700円(外来総医療費+薬局総薬代=3万7千円)
11月10日~11月30日:10,000円(入院総医療費120万円)

これについてはH病院から受取りました請求書を以下に示します。

人工透析 入院費自己負担

 ※ちょっと見づらいですが、医療費の総点数が「120,566点」で約120万円
  その分の自己負担は1万円と記載されています。

12月01日~12月05日:10,000円(入院治療費22万円)
  ※請求書は省略します。

・11月分は外来の自己負担は1万円以内なので軽減はありません。

・11月分の入院の保険適用分は総額120万円ですが軽減処置が適用され、
 自己負担は1万円になりました。

・12月分の入院保険適用分は22万円、これも自己負担は1万円です。

以上、自己負担額が大幅に減って福祉制度の有りがたさを感じました。

【人工透析治療を週3回通い(外来)で受けた場合の自己負担額】
人工透析はJクリニックで行い薬は院外薬局で支給を受けるケースです。

【医療費の前提条件】
12月06日:Jクリニックで透析開始のための初診実施
12月07日:Jクリニックで第1回目の透析開始
   ↓    週3回のペースで透析実施   
12月31日

【外来人工透析の自己負担額の結果】
12月分の医療費の自己負担額は以下の通りです。

12月分Jクリニック:自己負担10,000円(外来総医療費=約29万円)

12月分A薬局:自己負担3,320円(外来総薬代=33,200円)

このケースでは、医療費と薬代が合算でき1万円の自己負担良いのですが、実際の支払いは13,320円なので差額分は後日に当該の健康保険から振り込まれます。

  自己負担1万円との差額=13,320-10,0003,320円

この3,320円分の返却受け取りについて当該の市役所に問い合せたところ、特定疾病療養受領証を発行している「後期高齢者医療広域連合」から振込まれる(3~4ヶ月後)との回答がありました。

 ※上記の手続きは都道府県によって異なる可能性があるので必ず問合せ確認しましょう!

【福祉2】身体障害者手帳の交付申請

特定疾病である人工透析実施者は、身体障害者1級に該当するとケアマネージャーが言っていたので申請すれば手帳が交付されます。

この手帳を取得することで福祉機器の購入・レンタル費の軽減、その他に幾つかの福祉が受けられます(詳細別途記載)。

【申請に必要な書類等】

特定疾病の申請書類を受け取る時に、障害福祉課に立ち寄り受取りました。

【申請書類は2種類】
・身体障害者手帳交付申請書
・身体障害者診断書・意見書(じん臓機能障害用←医師が記入)

この書類にも医師の診断書・意見書がありますので記載の依頼が必要です。

実際の申請日程と身体障害者障害手帳の交付

11月05日(金) 人工透析開始のための入院日が決定
11月07日(月) 市役所の障害福祉課で2種類の書類を受け取る
11月10日(水) H病院(県内の三大総合病院)に入院する
11月11日(木) 1回目の人工透析開始
11月12日(金) 「身体障害者診断書・意見書」の記載を病院に依頼提出
            ※記載に1ヶ月かかると言われました
           3年前のM病院(県内の三大総合病院)の時は1週間だった!

11月24日(水) H病院より「診断書・意見書」の作成完了の電話がありました。
           ※病院休日が5日あったので実質1週間でした ^^

11月25日(木) H病院で「診断書・意見書」を受け取る
           ※この書類の費用は7,300円
           ※医師の意見書には「障害1級に該当」とありました。

11月25日(木) H病院から市役所に出向き「障害者手帳の交付申請」を提出完了

なお、市役所に提出してから審査に約1ヶ月半と言われているので交付は、来年の中旬になりそうです。

身体障害者手帳の受取りに必要なもの

1月13日(木)に障害者1級確定のハガキが届きましたので、翌日1月14日(金)に手帳を受取りに行きました。
  ※ハガキが届いたのは申請から実質1ヶ月半でした

【身体障害手帳の受け取りに必要な書類など】
 ・届いたハガキ
 ・健康保険証(後期高齢者医療被保険者証)
 ・マイナンバー
 ・貯金通帳
 
なお、頂いた障害者手帳の交付日は2021年11月30日となっており、申請した日(11月25日)の5日後でした。
  ※医師の診断書・意見書に「身体障害者等級1級該当」と書かれており、
   これが認められたので短期間の認定となったようです。

身体障害者手帳(1級)の福祉と適用開始

では身体障害者1級になれば、どのような福祉制度が受けられるか、我が県での主なものを上げてみます。

なお、都道府県によっては若干異なる可能性がありますが、手帳を受け取るときに説明があります。

【身体障害者手帳(1級)の主な福祉制度】
・市の特別福祉手当・・・月当り3,000円(年2回に分けて振込まれる)
・医療福祉費支給制度(マル福)・・・下部に詳細記載あり
・所得税・市県民税の所得控除・・・最大控除1人当たり75万円
・NHK受信料の減免
・自動車税・自動車取得税の減免・・・対象によって全額減免となります
・医療関連器具の補助(詳細は省略)

  ※上記は家庭の状況によって対象にならないこともあるので確認が必要です

健康保険に加入していると多くの福祉制度があり、大変有り難く助かりますね。

【福祉3】重度心身障害者の医療福祉費支給制度(通称「マル福」)

人工透析治療者は、重度の心身障害者に該当し身体障害者手帳(1級)に認定されます。

従って以下の「マル福」対象者になり福祉制度が受けられます

【マル福】の対象者・・・私の住む県の制度による
(1) 身体障害者手帳の1級、2級のかた
(2) 身体障害者手帳の3級で内部機能障害
(3) 療育手帳A、Aのかた
(4) 身体障害者手帳の3級かつ療育手帳Bのかた
(5) 国民年金法障害年金1級のかた
(6) 特別児童扶養手当1級のかた
(7) 精神障害者保健福祉手帳1級のかた

ちなみに医師の診断書には身体障害者1級に該当と記載されていたので、【マル福】適用はほぼ間違いないでしょう。

なお、この申請には「身体障害者手帳」が必須であり、その交付を受けてからの申請となります。

そしてこれが承認されますと市役所のホームページには「受給者は医療機関及び薬局の窓口での外来自己負担金又は入院自己負担金支払いはありません。」と記載されているので本当ならありがたいことです。

但し、審査が遅れれば遅れるほど適用が遅れるので1日も早く承認されるようにと思っています。

【マル福】申請に必要な書類等

市役所等の健康保険課などで申請が出来ますが、身体障害者手帳を受け取る時に案内がありました。

従って、「マル福」の申請は身体障害者手帳を受取った後に即行いました。

【申請に必要な書類等】
・後期高齢者被保険者証(健康保険証)
・マイナンバーがわかる書類
・身体障害者手帳
・貯金通帳
・医療費、薬代の領収書(市役所等に確認要)

以上の書類にて申請した結果、その場で「マル福医療福祉費受給者証」が交付されました。

【マル福】の適用開始と自己負担

我が家の場合は、身体障害者手帳の交付日が2021年11月30日になっていましたので、適用開始は月初めに2021年11月1日からとなりました。

これにより健康保険適用の医療費及び薬代の「自己負担はゼロ」になります。

以上より「マル福医療福祉費受給者証」の交付は2022年1月14日でしたが、適用開始は2021年11月1日からとなるので、この間に支払った医療費及び薬代(約3万5千円)は健康保険から払い戻しになります。

このため申請時に医療費・薬代の領収書を持参したわけで、これに基づき振り込まれます。

そして、実際に振り込まれたのは2022年3月31日、ほぼ2ヶ月半後でした。

なお、以後は医療機関(病院、薬局)に「マル福医療福祉費受給者証」を提示することにより自己負担はありません。

まとめ

現代の医学では腎臓病の進行を止めることが難しく、究極の治療法である人工透析に至る多くの患者がいます。

3年前に糖尿病を患った家内は、ほぼ1年前に合併症の一つである糖尿病性腎性になり、医師からは半年後には人工透析が必要となると予告されました。

それから1年4ヶ月、治療と食事に努力してきましたが進行は止まらず、ついに人工透析治療に至りました。

人工透析は一生続く治療でありその医療費は膨大になりますが、幸いにも自己負担を軽減する福祉制度が幾つかあり大変助かっています。

中でも身体障害者福祉の「特別福祉手当」、「所得税控除」、「自動車税減免」や健康保険福祉の「マル福」は、特に有り難い制度だと思っています。

今回、私ども家族が受けられる福祉制度の概要を紹介しましたが、同じ病気で苦しむ人に少しでも参考になれば幸いです。
  

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