年々、増大する医療費は、高齢化が主原因だと言われているが、それもあるけど大病院の医療システムにも医療費を増やす要因があります。
特に救急指定の大病院は、入院ベッドの回転率を上げるため、完治(自宅療養が出来る程度まで回復)していない患者を中堅の病院や開業医に移動(転院)させる方法をとっています。
これによって大病院と移動先病院のダブル検査の発生や紹介状などによって医療費は増えていきます。
また、完治しないままの転院は、中堅・開業医の医療レベルによっては病状を悪化させることもあり、また大病院に戻って治療を受け治すという不幸な(患者にとっては大問題)ことも起こり、医療費を増大させます。
これは我が家に生じた実際の出来事であり、おそらく全国的に起こっている問題と思われます。
目 次
医療費増大は高齢化が原因と言うが!
確かに高齢者は若い人より病気になり易く、医療費を増大させているかもしれないけど、少子化(人口減)による医療費の減少もあるはずで、高齢化を高らかに叫ぶのは別の意志が働いているようにも思える。
例えば、医療費負担を増やすためとか、その他の意志が見え隠れする。
実際に遭遇した医療費の増大
これから紹介するケースは、糖尿病を患っている家内の治療で遭遇した医療費の増大問題です。
病院側はどんな理由があれ治療した費用は全て受け取れるのでホクホク?我が家や健康保険は治療費の増大になりました。
2つの病院で同じ検査を実施する医療費の無駄
H大病院(一次救急病院)で胆嚢摘出手術をした家内は、A病院(三次救急)に転院し治療を受けていましたが、転院の10日後から嘔吐と下痢が始まり、更に血便と血尿も見られるようになりました。
A病院では、嘔吐や下痢を改善する薬を増やして対処しましたが、改善しないので原因を調べるため胃カメラ、大腸内視鏡検査を行いましたが異常は見つけられず、家内は嘔吐と下痢で衰弱するばかりで、このままでは命に関わると思われH病院に戻り消化器内科に入院しました。
そしたらH病院でまた胃カメラ、大腸内視鏡検査を行いましたが、確固たる原因は見つけることは出来ませんでした。
このように直近で胃カメラ、大腸内視鏡検査を2回も行うという無駄が発生し、私たちの負担も大きく増えました。
結果的には、H病院では薬の副作用を疑い、A病院で処方(嘔吐・下痢を改善する薬、他)した薬の5種類ほどを止めて、ようやく家内の嘔吐・下痢が止まり回復に向かったのです。
原因は、胆嚢摘出手術の後遺症と思われる嘔吐・下痢を改善するために、A病院が処方した薬の副作用だったようです。
このように大病院から小規模病院への早期に転院させる仕組みが、家内を疲弊させ医療費の増大を生んだのです。
これにより約2ヶ月間、家内の入院が長引き、ダブル検査の費用や入院費用が増え、その損失は我が家でほぼ30万円、健康保険は100万円以上の損失になったと思われます。
病気を持っていても治療をしてくれないケース
上記したH病院は一次救急指定の病院で、ほぼ全ての医科治療が出来ます。
しかし、消化器内科に入院した家内が快方に向かったので、白内障と糖尿病網膜症を患っている家内を眼科治療をさせたくて依頼しましたら治療を拒否されました。
H病院の言い分は、「当病院はA病院から消化器内科の治療を依頼されているのであって、眼科治療は対象外になる。一旦A病院に戻って、眼科治療が必要なら再度紹介状にて治療を受けてください。」
つまり、患者の要望より病院間の繋がりを優先するのが、私の住んでいる地域の病院のようです。
これによって、家内の眼科治療は次のようなステップとなりました。
H病院入院時の治療拒否→紹介状によるH病院眼科受診(診察結果は処置できず経過観察)
→結果H病院は治療をせず開業医の眼科治療を進める(紹介状)→開業医の眼科受診
ここでは期待したH病院の診察が全く用を果たさず、治療費と労力の無駄が発生しています。
中間総合病院の不足による医療費の無駄
我が地域には、ほぼ全ての医科を有している綜合病院(H病院)があるが、あとは1~2の医科(眼科、歯科、皮膚科&泌尿器科、内科、整形外科、etc)の開業医的病院が多く存在する。
つまり、全ての医科を有する総合病院と小規模の開業医の中間に相当する中間総合病院が無いので、複数の病気を持つ患者は同じ病院での治療が受けられず、無駄な治療費の増大に繋がっている。
これを対策するためには、例えば幾つかの開業医を一箇所に集めた中間総合病院(内科、外科、眼科、皮膚科、泌尿器科、消化器内科・・・)を作れば、そこの検査データーは全て共用が出来るのでダブル検査は無くなり、H病院と小規模の開業医が何度も行き来することも無くなります。
いわゆる検査データの共用も可能となり、大幅な医療費の低減になると思います。
厚生省の医療費低減策
厚生省は年々増え続ける医療費に頭を悩まし、いろいろな低減策を実施しています。
その一環としてジェネレック薬の普及促進はもちろん、病院で処方される花粉症薬(市販されている薬と効果はほぼ同等なので)を保険適用外(市販)にするなど、国民への協力も求めています。
しかし、実際の現場では今回紹介したダブル検査や小規模病院(開業医)の乱立の弊害、中間総合病院の不足による弊害が医療費を増やしているので、こちらにも目を向けないと根本的な解決にはならないと思います。
まとめ
年々、増え続ける医療費は高齢化が原因という人が多いが、確かにそれもあるが日本の病院の構造的な問題を見極め手を打たないと根本的な解決にはならない。
構造的な問題としては、一次救急病院(大病院)と開業医との移転頻発によるダブル検査の発生、これは検査データの共有によって医療費の増大が防げる。
検査データーの共有は、正に全国的な共通課題だと思う。
構造的といえば、大病院と開業医の中間に当たる病院が少なく、複数の病気を持つ患者は幾つもの病院に掛からざるを得ず、初診料や検査費用の増大に繋がっている。
これが例えばデパートのように、各種開業医を集めた中間病院が作られれば、初診料の低減、検査データーの共有が出来て、医療費の低減がはかれるし、患者にとっても大きなメリットがある。
医療費増大は現場で何が起こっているのか見極めないと、小手先の対策で終わってしまうように思える。